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ここでは、家を作るにあたって気をつける点、資金の事、最新のトレンド、
お役立ち情報など様々な情報をお届けします。
2021.08.12
まず、なるべくわかりやすくざっくりと耐震の考え方を説明したいと思います。
建築基準法における耐震の計算の仕方は、まず建物の重さにより
軽い建築物は有利に重い建築物は不利となります。
昔の土を載せて棟をたくさん積んでいた瓦屋根は不利になるということです。
(ただ、要求される耐力がその分大きくなるだけで、
ダメということではありません)
そして、筋交いを入れた部分や面材を貼った部分を耐力壁と
みなしまして、その壁の枚数と壁倍率を掛け合わせた数を足しますと
壁量が出ますので壁量を計算します。
その数値が必要壁量以上あればOKということになります。
また、耐力壁はバランスよく配置することも重要なため、
それを簡易的にみるために4分割法と言い東西南北それぞれの
外周部の壁量を出して偏っていないかを判断します。
そして、地震時などには強度の強い壁に力が多くかかりますので
強度を強くした壁にはその分強い柱金物が必要になります。
それを柱の引き抜き力を計算するN値計算によって出します。
つまり、壁量計算と金物計算が主な基準法による計算となります。
次に性能等級の耐震等級3を満たすかどうかの計算では必要壁量が耐震等級3では
基準法の時の1.5倍程度大きく設定されます。
そして、耐震等級3では水平構面の計算も必要となります。
水平構面とは床や屋根面などに当たります。
地震によって生じる水平方向の力を耐力壁に伝える重要な役割があります。
水平構面の計算をやってみますと吹き抜けやスキップフロアが耐震上は
あまりよくないことがよくわかります。
インスタグラムの写真などで一面吹き抜けで天井は屋根なりに貼ってあって
火打ち梁なども全くない写真などがあったりしますが
見た目はすっきりしていて、かっこいいですが水平構面が全くなさそうで
構造的に大丈夫だろうかと思えるような写真が結構あったりします。
また、さらに部材のサイズや力の流れ、さらには基礎の配筋などまで
耐震等級3では検討する必要があります。
しかし、基礎に関しては立上りの鉄筋にフックを要求したり、
強度が必要なところは通常鉄筋一本入れるところに3本入れると
OKになったりする場合があるのですが
それってかぶり厚さが取れなくなって、かえって弱くなってしまいそうな気がします。
そんないまいち疑問な部分もあったりします。
耐震に関して等級3ではないと危険かというと、耐震等級3ではなくても
壁量も基準法より余裕があり、配置バランスも良く、壁の直下率も高く、
柱が飛び過ぎなところがなければ大丈夫とは思います。
とはいえ、一般の方はたとえ計算書を見せてもらっても、判断はつけられないと思います。
耐震等級3は先に説明したように基準値は高く、計算項目も多く、
(特に水平構面の計算は価値があると個人的に思います)
その計算の値が一定の計算ルールの上ではありますが、
基準値をクリアしていることで安心が持てます。
実績としましても、熊本地震でも耐震等級3を取得していた物件は地震後も
暮らすことができたことで耐震等級3の安全性は証明されています。
とはいえ、基礎工事などの工事変更による工事費、手間の増加(過剰?改悪?)
とか証明書の取得に手間、費用が出るなどというデメリット部分もあります。
でも、地震保険に加入予定の方は保険料が安くなることにより
費用面のデメリットは消えます。
(ちなみに農協さんの建更の場合はもともと地震保険は付いてまして
耐震等級3が有っても無くても費用は変わりません)
何しろ私が個人的に思いますのは、何より一番大事なのは設計をする方が
最初からちゃんと耐震のことも考慮しつつ設計をすることが重要だと思います。
そんなこと当たり前じゃないのと思われるかもしれませんが
皆さん確認申請が通ったと聞くと構造計算も通ったと思われると思います。
しかし、木造2階建ての延べ面積500㎡以下で建築士による申請なら
構造計算の添付は必要ないのです。(4号特例と言います)
つまり、構造計算はしなくても申請は通ってしまうのです。
結構びっくりな事実ではないですか?
今は違うかもしれませんが、構造の計算の仕方など知らない
設計士さんもいたと聞きます。
今はそこまでではないにしましても、デザイン重視の設計士さんが
構造が二の次であることは確かです。
確かにデザイン上いいものを目指したり、広い空間を作りたいと思いますと
構造が邪魔になるのはすごくわかりますし、
構造のことは構造系の方に任せてしまうという面もあると思います。
今は何事も分業ですからある程度は仕方ないとは思いますが、
間取りは構造も考えながら、お施主さんの生活も考えながらでないと
良い図面はできないと思います。
それに、梁間が広すぎたりする部分が先ほど述べた
基礎工事で鉄筋1本でいいところを3本要求されたりする部分になります。
つまりは間取りで無理をしないことのが安全だと思います。
今人気のゲームのマインクラフトってうちの子もよくやってますが
発想力とか想像力とかも鍛えられそうな、よくできたゲームだなって思いますし、
誰が作ったのか、すごい建物が作ってあったりしますが、
マインクラフトの世界だと柱をいくら壊しても
建物が宙に浮いたままだからいいですよね。
まあ、そんなことを言っていても仕方ないのですが、
私としては描くだけでなく造る立場でもありますので
構造上心配なものはとても造れませんので
耐震等級3の証明書の取得が必要かどうかは関係なく
構造を考えながら設計しますし、ほかの設計士さんに頼んだ場合でも
自分で構造の確認はします。
最終的に最後にわたしが今一番おすすめするのはwallstatです。
ありがたいことにフリーソフトなのですが、(製作者さんに感謝です)
梁、柱、耐力壁、金物など構造図をすべて入力することにより
阪神大震災と同じ条件の場合とか熊本地震と同じ条件の場合に
建物がどのような動きをするかが動画で確認できます。
駄目だと見事につぶれてしまいます。
壊れるか壊れないかが動画で見て比べられるので耐震に関して
これほどわかりやすいものはないです。
弊社では設計が固まった後に弊社で構造図を入力し、
wallstatで実際にどう動くかを確認してもらっています。
wallstat自身が信用できるかどうかは
ぜひ検索してみてご確認ください。
実際の建物での振動実験との比較動画もあり面白いと思います。
もちろん、あなた自身のこれから建てる家の耐震シミュレーションのが
もっと面白いと思いますけどね。
それは弊社の方にご相談ください。
ちなみに弊社ではVRにより実際建てる家の内観、外観なども
バーチャルの世界で体感できます。
高さや空間の広さも体感できてわかりやすいです。
家って実際に手に取って見てもらうわけにはいかないので、
なるべく実際にどんな建物が建つのか実感してもらえるように
努めています。